2009年 08月 06日
DALIA Event Vol .13 “ はじくとひびく ” その2 ライブは終了しました。 |
インド・ シタール × アラブ・ウード × 南シベリア・トゥバ民族楽器
伊藤公朗 常味裕司 等々力政彦
の3人の演奏家による『はじくとひびく』その2では
たくさんのご来場をいただき、ありがとうございました。
アラブ・インド・シベリア、
それぞれのルーツの響きは時空を超え旅をしてるような、どこか遠くの世界へと飛ばされつつ、なんとも心地の良いひと時でした。
恒久の調べ、中世アラブ宮廷楽器・弦楽器の祖『ウード』
音色の歴史は非常に古く、アラブ世界・トルコ・ギリシャで使われ、カスピ海近くのコ-カサス~ペルシアへ、そして極東の日本へ伝播し琵琶になったという説があります。
ヨーロッパではリュート、マンドリン、そしてギターへ
みんな仲間の楽器です。
ウ-ド奏者の第一人者、常味裕司さんの演奏にて第一部の幕開けです。
1曲目はトルコの楽曲、華麗な『クルド』というリズムで舞踏曲のように軽快なリズムを刻んでいきます。弦を押さえ時折スライドせながら音域を広げる左手。右手にはリーシャというスティックを持ち、カシャカシャとかき鳴らす音と弦そのものの響き、うねりのある音色にうっとりと酔いしれる。最高!(現在のリーシャはナイロン製ですが、かつてはワシの羽根をつかっていたそうです。)
2曲目はエジプトの楽曲、アル・エリアン作曲10拍子の「サマィ・バヤティ」
3曲目は20年前と比較的新しい楽曲、チュニジアのアナール・バヤティというウード奏者が作曲した「ジプシーの香り」。イスラーム世界のエキゾチックな音楽、トルコ・エジプト・チュニジアの伝統曲を3曲、ご披露くださいました。
一つのコ-スに2本づつ張られた11弦の下には木片を継いだ共鳴胴、蔦柄の透かし彫りが美しい。西洋音楽で例えたド~レの1つの音域、ウードの音色はそこからさらに9分割もあるという複雑な微分音の世界観を表現。口伝から常味さんが捉えた音の感覚・感情から湧き上がる音色をたっぷりと楽しませてくれました。またチュニジアで修練されていた頃の常味さんの心の記憶に触れているような、繊細な音を存分に堪能。『楽器の王様』に君臨するウ-ドを携え、威風堂々と音を奏でる常味裕司さんでした。
続いて、トゥバ民族音楽の伝道師、等々力政彦さんによる演奏へ。
シベリアの森・草原と共に、風の民が育んできた『トゥバ民謡』
ポロンポロンという素朴な音色の撥弦楽器ドシュプルールを伴奏に、喉歌・フーメイの世界へ。
2曲目はデミルホムス(口琴)の繰り返すリズム、倍音が脳天を突き抜け気持ちよし。
3曲目はカラサルホール作曲 『 ウズンホイユ 』
『長くやわらかい』というタイトル曲。弓で弾く擦弦のくすんだ音色イギル&ディープで伸びやかな声カルグラ。力強く雄大な大地に吹く風に撫でられるような、静かな風景へと想いを馳せる。トゥバ民族が育んできた無垢な音色の楽器、「歌にあるこころ」を表現される等々力さんの魅力に触れます。数ある伝承曲の中から等々力さんの好まれる民謡には、物悲しさ、生きる厳しさといった哀愁歌が多く、『生身の人間らしさ』が伝わってきます。山・草原の自然の原風景、動物・人々の素朴な暮らしを音楽から連想し、シベリアの世界へ。
2部は『ナーダヨギの教え』を受け継ぐシタール奏者
伊藤公朗さんの演奏から。
ペルシア音楽の影響を受けながら生まれた北インド音楽を代表する楽器『シタール』
シンド地方に伝わる朝のラーガ「シンドバイラヴィ」から一曲の演奏。(現在のパキスタンに位置するシンド地方の音階)
一般的には、苦行や悲しみの表現であるといわれるラーガ「バイラヴィ」。一方、愛情とも結びついている。
しかし伊藤公朗さんにとっての「バイラヴィ」はこうである。
朝でも夜でもいつでも演奏できるラーガであり
「SADARANGINIサダランギニ」サンスクリット語で
「永遠に艶やかに」という表現から演奏する。
サダ=永遠 ラング=色・愛・音楽 ギニ=女性系
抱擁、寛容さ、普遍性、創造の源に触れるようなふくらみのある豊な彩り・・・
こうろうさんの奏でるシタールの音色は気品があり、ロマンティックであります。
ミーンドの伸びやかで美しい装飾音に引き込まれ、意識ははるか彼方へ。
ほの暗い聖なる空間から、崇高なる音を奏でてくださいました。
そして3人の音が融合した、マカ不思議な音世界へ。
アラブウードのウエットで太い音色、野太いカルグラを包み込む甘美な音色のシタール。
豊かな音色と自在なリズム!「どこへいくんだ、暴れ馬」という感じの疾走感たっぷり!音と遊ぶ3人の音楽家のダイナミックな演奏に高揚しまくりました。
最後の曲は、シバ神に捧ぐ朝のラーガ「バイラヴ」。アラブ音階のようなインド音楽をベースに、浪曲のようなトゥバ民謡、しっとりとしたウ−ドの即興のセッション。
止まぬ風、「静かな嵐」というタイトルが浮かびそんな風景を描いてみました。
いつもは「キャバ~!」という声を張り上げる音楽をこよなく愛す名物おじさんもご来場、時折「ワお!」「Fantastic!!」という掛け声。いただきました。
7月の締めくくりにふさわしいライブ、ドラマティックな一夜をすごしました。
音で感じる世界は言葉で表現するのはとっても難しい。
この3人の音楽家の魅力を是非いろんな方に聴いていほしい!またライブを企画します!
次回のライブは9月21日(月・祝)
山梨県白州の風光明媚な自然を舞台にした大陸音楽ライブ!
詳細はこちらからどうぞ。生きものの音 in 白州
そしてDALIA Liveのもうひとつのお楽しみ!
DALIA食堂より、旬の食材を使いながら民族料理をご用意しました。
ボルシチとまあるいプチサイズのナン。(キルギス語でマイ・トコチ ロシア語でリピョ-シカ)
ウクライナ発祥のこのボルシチはロシアでも食されます。
ソ連時代の産物として中央アジアに位置するキルギス共和国でも良く食卓に並びます。
今回はキルギス流のボルシチでビ-ツとたまねぎ・
トマトのうまみがたっぷり、愛情もたっぷり。
コトコトと煮込み、食材の彩りがとってもきれいな
お料理を食していただきました。
「オーミン」
(ありがたい気持ちでいただきました。
という気持ちをこめて、キルギスでは
ごちそうさまをこういいます。)
※「キルギス流ボルシチ」は食堂のメニューに
しばらくのあいだ加わります。
ナンをご希望の方は前日までのご予約にて
ご用意させていただきます。
伊藤公朗 常味裕司 等々力政彦
の3人の演奏家による『はじくとひびく』その2では
たくさんのご来場をいただき、ありがとうございました。
アラブ・インド・シベリア、
それぞれのルーツの響きは時空を超え旅をしてるような、どこか遠くの世界へと飛ばされつつ、なんとも心地の良いひと時でした。
恒久の調べ、中世アラブ宮廷楽器・弦楽器の祖『ウード』
音色の歴史は非常に古く、アラブ世界・トルコ・ギリシャで使われ、カスピ海近くのコ-カサス~ペルシアへ、そして極東の日本へ伝播し琵琶になったという説があります。
ヨーロッパではリュート、マンドリン、そしてギターへ
みんな仲間の楽器です。
ウ-ド奏者の第一人者、常味裕司さんの演奏にて第一部の幕開けです。
1曲目はトルコの楽曲、華麗な『クルド』というリズムで舞踏曲のように軽快なリズムを刻んでいきます。弦を押さえ時折スライドせながら音域を広げる左手。右手にはリーシャというスティックを持ち、カシャカシャとかき鳴らす音と弦そのものの響き、うねりのある音色にうっとりと酔いしれる。最高!(現在のリーシャはナイロン製ですが、かつてはワシの羽根をつかっていたそうです。)
2曲目はエジプトの楽曲、アル・エリアン作曲10拍子の「サマィ・バヤティ」
3曲目は20年前と比較的新しい楽曲、チュニジアのアナール・バヤティというウード奏者が作曲した「ジプシーの香り」。イスラーム世界のエキゾチックな音楽、トルコ・エジプト・チュニジアの伝統曲を3曲、ご披露くださいました。
一つのコ-スに2本づつ張られた11弦の下には木片を継いだ共鳴胴、蔦柄の透かし彫りが美しい。西洋音楽で例えたド~レの1つの音域、ウードの音色はそこからさらに9分割もあるという複雑な微分音の世界観を表現。口伝から常味さんが捉えた音の感覚・感情から湧き上がる音色をたっぷりと楽しませてくれました。またチュニジアで修練されていた頃の常味さんの心の記憶に触れているような、繊細な音を存分に堪能。『楽器の王様』に君臨するウ-ドを携え、威風堂々と音を奏でる常味裕司さんでした。
続いて、トゥバ民族音楽の伝道師、等々力政彦さんによる演奏へ。
シベリアの森・草原と共に、風の民が育んできた『トゥバ民謡』
ポロンポロンという素朴な音色の撥弦楽器ドシュプルールを伴奏に、喉歌・フーメイの世界へ。
2曲目はデミルホムス(口琴)の繰り返すリズム、倍音が脳天を突き抜け気持ちよし。
3曲目はカラサルホール作曲 『 ウズンホイユ 』
『長くやわらかい』というタイトル曲。弓で弾く擦弦のくすんだ音色イギル&ディープで伸びやかな声カルグラ。力強く雄大な大地に吹く風に撫でられるような、静かな風景へと想いを馳せる。トゥバ民族が育んできた無垢な音色の楽器、「歌にあるこころ」を表現される等々力さんの魅力に触れます。数ある伝承曲の中から等々力さんの好まれる民謡には、物悲しさ、生きる厳しさといった哀愁歌が多く、『生身の人間らしさ』が伝わってきます。山・草原の自然の原風景、動物・人々の素朴な暮らしを音楽から連想し、シベリアの世界へ。
2部は『ナーダヨギの教え』を受け継ぐシタール奏者
伊藤公朗さんの演奏から。
ペルシア音楽の影響を受けながら生まれた北インド音楽を代表する楽器『シタール』
シンド地方に伝わる朝のラーガ「シンドバイラヴィ」から一曲の演奏。(現在のパキスタンに位置するシンド地方の音階)
一般的には、苦行や悲しみの表現であるといわれるラーガ「バイラヴィ」。一方、愛情とも結びついている。
しかし伊藤公朗さんにとっての「バイラヴィ」はこうである。
朝でも夜でもいつでも演奏できるラーガであり
「SADARANGINIサダランギニ」サンスクリット語で
「永遠に艶やかに」という表現から演奏する。
サダ=永遠 ラング=色・愛・音楽 ギニ=女性系
抱擁、寛容さ、普遍性、創造の源に触れるようなふくらみのある豊な彩り・・・
こうろうさんの奏でるシタールの音色は気品があり、ロマンティックであります。
ミーンドの伸びやかで美しい装飾音に引き込まれ、意識ははるか彼方へ。
ほの暗い聖なる空間から、崇高なる音を奏でてくださいました。
そして3人の音が融合した、マカ不思議な音世界へ。
アラブウードのウエットで太い音色、野太いカルグラを包み込む甘美な音色のシタール。
豊かな音色と自在なリズム!「どこへいくんだ、暴れ馬」という感じの疾走感たっぷり!音と遊ぶ3人の音楽家のダイナミックな演奏に高揚しまくりました。
最後の曲は、シバ神に捧ぐ朝のラーガ「バイラヴ」。アラブ音階のようなインド音楽をベースに、浪曲のようなトゥバ民謡、しっとりとしたウ−ドの即興のセッション。
止まぬ風、「静かな嵐」というタイトルが浮かびそんな風景を描いてみました。
いつもは「キャバ~!」という声を張り上げる音楽をこよなく愛す名物おじさんもご来場、時折「ワお!」「Fantastic!!」という掛け声。いただきました。
7月の締めくくりにふさわしいライブ、ドラマティックな一夜をすごしました。
音で感じる世界は言葉で表現するのはとっても難しい。
この3人の音楽家の魅力を是非いろんな方に聴いていほしい!またライブを企画します!
次回のライブは9月21日(月・祝)
山梨県白州の風光明媚な自然を舞台にした大陸音楽ライブ!
詳細はこちらからどうぞ。生きものの音 in 白州
そしてDALIA Liveのもうひとつのお楽しみ!
DALIA食堂より、旬の食材を使いながら民族料理をご用意しました。
ボルシチとまあるいプチサイズのナン。(キルギス語でマイ・トコチ ロシア語でリピョ-シカ)
ウクライナ発祥のこのボルシチはロシアでも食されます。
ソ連時代の産物として中央アジアに位置するキルギス共和国でも良く食卓に並びます。
今回はキルギス流のボルシチでビ-ツとたまねぎ・
トマトのうまみがたっぷり、愛情もたっぷり。
コトコトと煮込み、食材の彩りがとってもきれいな
お料理を食していただきました。
「オーミン」
(ありがたい気持ちでいただきました。
という気持ちをこめて、キルギスでは
ごちそうさまをこういいます。)
※「キルギス流ボルシチ」は食堂のメニューに
しばらくのあいだ加わります。
ナンをご希望の方は前日までのご予約にて
ご用意させていただきます。
by dalia58
| 2009-08-06 23:40
| 音